「英語ページはGoogle翻訳やDeepLで対応済みです」——コストや手間を考えると、機械翻訳に頼りたくなる気持ちはよくわかります。実際、簡単な案内文であれば機械翻訳でも十分なケースもあります。
しかし旅館・宿の英語サイトにおいては、機械翻訳をそのまま貼り付けるだけでは、海外ゲストに誤解や不信感を与え、結果として予約直前での離脱につながってしまうことがあります。この記事では、旅館サイトで特に起こりやすい機械翻訳の落とし穴を5つ紹介し、それぞれの改善の考え方を解説します。
落とし穴1:日本の宿泊文化特有の言葉が直訳される
「布団」「大浴場」「玄関で靴を脱ぐ」といった日本の宿泊文化特有の概念は、機械翻訳では単語としては訳されても、背景にある意味までは伝わりません。例えば「布団」を機械的に "futon" と訳しても、欧米で一般的な「フトンソファ」を想像するゲストもいます。実際にどのような寝具で、どう用意されるのか(夕食後にスタッフが敷きに来るのかなど)を一文添えるだけで、誤解を防ぎ安心感を与えることができます。
落とし穴2:敬語・丁寧表現のニュアンスが崩れる
日本語の丁寧な依頼表現(「〜していただけますようお願いいたします」など)を機械翻訳にかけると、不自然に硬い英語になったり、逆にそっけない命令口調に訳されてしまうことがあります。日本語では丁寧で温かい印象の文章が、英語では冷たく事務的な印象になってしまうケースは少なくありません。ネイティブが読んで自然に感じるトーンに調整する工程が必要です。
落とし穴3:固有名詞・地名が誤訳・表記ゆれを起こす
旅館名、最寄り駅名、地域の観光地名などの固有名詞は、機械翻訳によって意図しない形に変換されたり、ページごとに表記が異なってしまうことがあります。表記が統一されていないと、海外ゲストが指名検索をした際に情報が分散し、SEOの評価にも悪影響を与えます。固有名詞は機械翻訳に任せきりにせず、あらかじめ正式な英語表記をリスト化しておくことが重要です。
落とし穴4:主語が省略された日本語が意味不明な英語になる
日本語は主語を省略しても意味が通じる言語ですが、英語では主語がないと文として成立しません。「ご予約後、確認のご連絡をいたします」のような主語のない日本語文を機械翻訳にかけると、誰が誰に連絡するのかが曖昧な、不自然な英語になってしまうことがあります。翻訳する前に、日本語の原文自体を「誰が・何を・いつ」までを明確にした文章に書き換えておくと、翻訳の精度が大きく改善します。
落とし穴5:重要情報の誤訳がトラブルの原因になる
キャンセルポリシー、追加料金の条件、チェックイン・チェックアウトの時間など、金銭やスケジュールに関わる重要情報の誤訳は、単なる読みにくさでは済まず、実際のクレームやトラブルに直結します。こうした重要情報については、機械翻訳の結果を必ず人の目で確認し、可能であれば英語ネイティブ、または旅館業界の英語表現に詳しい第三者にチェックしてもらうことを強くおすすめします。
機械翻訳を「たたき台」として賢く使う
ここまで機械翻訳の落とし穴を紹介してきましたが、機械翻訳そのものを否定する必要はありません。ゼロから英文を書くよりも、機械翻訳を下書き(たたき台)として使い、そこから上記5つの観点でチェック・修正していく方が、効率的かつ現実的なアプローチです。重要なのは「機械翻訳をそのまま公開しない」という一点に尽きます。
まとめ:伝わる英語は、翻訳ではなくローカライズの発想から
機械翻訳は便利なツールですが、旅館サイトのように文化的な背景や重要な取引条件を含むコンテンツにおいては、単語を置き換える「翻訳」ではなく、意味と文脈まで含めて伝える「ローカライズ」の発想が欠かせません。すべてのページを一から見直す必要はなく、まずはキャンセルポリシーや料金など、トラブルにつながりやすい重要ページから優先的にチェックしていくことをおすすめします。
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