これまでの記事では、新しい海外ゲストに「見つけてもらい、選んでもらう」ための施策を中心に解説してきました。しかし国際集客において見落とされがちなのが、一度宿泊してくれたゲストとの関係を、その後も続けていく視点です。この記事では、海外ゲストをリピーター化するためのフォローアップ施策を紹介します。
なぜ海外ゲストのリピーター化が重要なのか
新規の海外ゲストを獲得するには、検索対策やOTAへの手数料など、相応のコストと労力がかかります。一方で、一度満足して帰国したゲストは、すでに宿の魅力を理解しており、次回の来訪へのハードルが低い状態にあります。さらに、リピーターになったゲストは、家族や友人への紹介、SNSでの発信を通じて、新規ゲストの獲得にも間接的に貢献してくれる存在です。「一度きりの宿泊で終わらせない」という視点は、限られたリソースの中で集客効果を最大化する上で重要な考え方です。
海外ゲストならではの難しさも理解しておく
国内リピーターと異なり、海外ゲストにとって「もう一度日本に来て、同じ宿に泊まる」ことは、距離・時間・費用の面でハードルが高いのも事実です。すべての海外ゲストがすぐにリピーターになるわけではないという前提を持ちつつ、「いつか日本を再訪する時に、また選んでもらえる存在であり続ける」という、中長期的な関係構築の視点でフォローアップを考えることが現実的です。
フォローアップ施策の具体例
1. 滞在後のお礼メールを送る
チェックアウト後、数日以内に感謝の気持ちを伝える英語メールを送ることで、良い体験の余韻を強めることができます。定型文だけでなく、可能であれば滞在中のエピソード(利用したプラン、天候など)に軽く触れると、より心のこもった印象になります。
例文: "Thank you for staying with us. We hope you enjoyed the autumn colors during your visit, and we look forward to welcoming you again in the future."
2. ニュースレター・メールマガジンへの登録を案内する
季節の便りや、期間限定のプラン情報などを届けられるよう、宿泊後にニュースレターへの登録を案内する方法も有効です。ただし、海外では個人情報の取り扱いに関する規制(後述)があるため、必ず本人の同意(オプトイン)を得た上で登録してもらうようにしましょう。
3. SNSでのつながりを作る
Instagramなど、海外ゲストが日常的に利用しているSNSのアカウントをチェックアウト時やお礼メールで案内し、フォローしてもらうことで、宿泊後も継続的に季節の様子やイベント情報を届けられる接点を作れます。
4. リピーター向けの特典を用意する
「次回宿泊時の割引」「未体験のプラン(別の季節の会席料理、貸切風呂など)の案内」といった、再訪する理由になる特典を用意することで、「また来てみたい」という気持ちを後押しできます。
5. 口コミ投稿への感謝を伝える
口コミを投稿してくれたゲストには、返信という形で感謝を伝えることが、間接的なフォローアップにもなります。「TripAdvisor・Google口コミを国際SEOに活かす方法」で紹介した口コミ対応の考え方は、リピーター化という観点でも重要です。
プライバシー・個人情報への配慮を忘れずに
海外ゲストのメールアドレスなどの個人情報を継続的に活用する場合、EUのGDPRをはじめとする各国のプライバシー規制に配慮する必要があります。本人の明確な同意なくメールマガジンに登録する、同意なく第三者に情報を提供するといった対応は避け、登録・配信停止の手続きをわかりやすく案内することが重要です。
リピーター化以外にも生まれる価値
すべての海外ゲストがすぐにリピーターになるわけではありませんが、フォローアップを通じて良好な関係を維持することで、以下のような間接的な価値も期待できます。
- 家族・友人への口コミによる紹介
- SNSでの自然な発信による認知拡大
- 将来的に日本を再訪する際の「第一候補」としての記憶に残る
まとめ:一度きりの出会いを、続く関係に変える
海外ゲストの集客というと新規獲得にばかり目が向きがちですが、一度きりの宿泊で関係を終わらせず、感謝の伝達、情報発信、特典の用意といったフォローアップを積み重ねることで、限られた集客リソースをより効果的に活かすことができます。前回紹介した月次改善サイクルの中に、フォローアップ施策の見直しもぜひ組み込んでみてください。
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